『野火』


いつもの戦争映画だと思って油断していた。
憲法改正で騒がれているこのタイミングに観たから響いたのかわからないが、僕にはとても衝撃的だった。もしかしたら軽いPTSDかもしれない。
親父が好きな映画の中に『プライベートライアン』がある。僕は世の文化人のマネをして、戦争を美しく描いた映画なんてなんの価値もない、という意見を自信満々に述べていた。しかし本当は『プライベートライアン』を観て素直に感動していたし、銃を持って仲間を助けながら戦う姿が格好良いと思っていた。
僕も一応、男なので剣や銃が好きなわけで、ゲームの中では普通に敵を撃ち殺したりする。これが仮想空間の為、誰も不思議に思わない。本能的に危険なことや戦闘することに憧れを持って当然なのだが、この思考は70年かけて作り上げてきた平和ボケに過ぎない。
この映画では只管、出血の音、ハエが舞う音、恐怖に満ちた男の絶叫が響き渡る。終始、狂気の沙汰で感覚が狂ってしまう。

観終わって映画館を出るとラブホ街だった。頭を銀髪にした男が頭の悪そうな女とデカい声で話しながら歩いていた。彼らは何も悪くない、そして僕も同様である。ただ、思考を止めてはならないと思った。

おススメ度:★★★★☆



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